細逕



屋根もない寂しい駅に着いてしまった。
日が沈みかけている。
見渡す限り 腰高の穂が生い茂る。
かろうじて道がある。
木の電信柱が刺さっている。
どこまでも続くようにみえる。
細逕を とぼとぼ歩く。
草の狭間から見られている。
白い目が まばたきをしている。
幾度 草の影に顔を向けても
なぜ 何もいない。
風が吹く。
怯える僕を 穂が嗤う。