偽物の伝聞
【オオスカシ】
屁の昆虫表現。
【Palm measure】
ものさしの樹の化石。
【生物の秩序化】
徐々に他個体と統一されていくこと。
【西極観測隊の行方不明事件】
九〇年の刻限に発生した未解決事件。
有史から派遣されていた西極観測隊と連絡が途絶え、観測隊隊員はミレニアムを過ぎるも消息不明。ついに西極に辿り着いたと仮説が立てられ、証明のために新たに東極観測隊が設置された。
【形骸卵】
中身である雛鳥が肉薄された体を得ないまま骨だけ肥大する卵。地球の中東あたりに生息する鳥類が、渓谷の岩壁の隙間に営巣し、通常の卵と共に形骸卵を産む。形骸卵は孵化することがない。形骸卵はやがて親鳥が踏み潰し、中の骨ごと粉々にしてしまう。粉砕された殻と骨粉は巣の中に混ぜ込まれ、そこから植物が発芽し根を伸ばすようになる。根を壁に張り巡らさせることで、巣を壁面に安定させているという説がある。
【キャンドルポーチ】
人類の腰骨あたりにあるくぼみのこと。
【横回転式観覧車の記念絵葉書】
マーガレットが配っている絵葉書。
鳥の飛ぶ高度で人が三角錐のタワーの骨格部分に腰掛けて談笑している。描かれた人間の笑顔は楽しさよりも恐怖によるところが大きい。
【風船が膨らんでいられる理由】
膨らませた時にてっぺんがある為。
【聖霊指定都市】
精神的拠り所を可視化した都市のこと。
何者でも訪れることは可能だが、人は住むことができない。
【マットウクジラ】
その節はお世話になりました。
【セルドルチェ】
粒アイスのフレーバーラベル「人間」を指す。
【オボロガラマセリ】
浅瀬の海底に繁殖する蝶。
【ザピオパシー】
井戸端会議で中年の女性が感じ取るシンパシーのこと。
【骨離れ】
人間の骨で他の骨と分離されているのは、肩甲骨の他に頬骨である。
「宙に浮いたような存在」の意。
【はぐれ骨】
あるような、ないような骨。極めて孤独。
【ココガ】
蛾。赤茶色の鱗粉がまぶされた個体の総称。
【アメツムリ】
巻飴を背負っている。高温多湿の環境で溶け広がる。
【ゴショウアリ】
アメツムリを砕いて巣に持ち帰ろうと行列を成す生きもの。
【もぬき】
野生のミニマリスト。毛深く獣臭い特徴をもつ。
【スペースクリーニング】
1、宇宙動物の駆除。
2、薬。
3、霧を晴らすこと。
【のち袋】
うなぎの辛煮。ぬた袋。
【頭突きをする】
慣用句。「ありもしないものを差し出す」の意。
【銀緑素】
すずらんの萼にある細胞。
【ブランコを漕ぐ】
劇中に頻出する表現形式の一種で、セックスの隠喩。
【環状深林路線】
鉄道路線。終点以外の駅は霧がかかっている。
乗る人はいるが降りる人は滅多にいない。
乗客は電車に揺られ、いつか何度も通り過ぎた駅に降りる。
【無知の輪】
馬鹿ほど簡単に解ける知恵あそび。
【習慣的サリア】
瞬間の睡眠が可能となる健康方法。
【アスモアス】
1、as more as
2、明日も明日。
3、これからむす予定の苔。
【愛善神楽】
偽善者が踊る慈善舞い。
源流は不明。
【イカルド】
1、イカの修道士。
2、方言。怒りを表した言葉。
3、変調楕円形の刃物。主に医療器具として用いられる。
【キャベル】
よく喋るキャベツ。
【神果】
オボシ科の異肉植物。通常、四〜七玉のすずなりに実る。
有毒。遠目で神果を認識せずとも中毒症状を引き起こすことがある。症状は幻覚、四肢脱力、多幸感など。
【アエオン】
発音方法のこと。
【コクレープ】
横浜インド織りの布のうち、厚みが0.5ミリオン以下のもの。
【ギョ蘇】
魚の煮汁の澱。
【ランダムセパレート】
(人・時間・心などを)乱切りにする。
【シャーベットマルキス】
アラザンと凍らせた電気栽培花を飾ったアイスクリームシャーベット。暗闇で光る。
【ヨシトンボ】
尻切れがちに止めておこうという号令。
【ガンジャン】
荻窪のラーメン屋で使われている秘伝の香辛料。ガンガンジャンジャンかけなさい。
【ロスコン】
ロスト-コンプレックスの略。
【かもんじる】
におうものとして大切に扱う。
【眼塩】
かつて人間が流していたといわれる涙から精製していた塩。
精製方法はロストテクノロジーである。
【モモリンガル】
卑猥な言葉を卑猥に置き換える能力。
【X-トラベルタグ】
洗濯表示。旅はX年を限度とする。
【ヨト】
空からゆっくりおりてくる役。
【信頼方法の教え】
一、このひと(兄)についていくのだと心の芯から思うこと。
一、前のめりの姿勢で、肩の力は抜きます。
一、目は開けていても閉じていても、どちらでも構いません。
【セピナストロイ=メイ】
哺乳網渦目ノウモ科ウモ属に分類される動物。
捕獲の記録はなく、体長は目視で1.5〜3m程度。体重は不明。
短い首とくぼんだ顔面をもつ。曲がった2本の角が顔面の両脇に生えている。黒く長い毛で覆われており、短い四肢で木の幹を登る姿が目撃されている。樹や鳥居などの上でじっとしていることが多く、くぼんだ顔面から粘性の液を垂らす。
【握把尾】
あはび。
合掌を用いて捕る。
握把尾が自ら這って対象にくっ付いたとき、その対象の「願いを叶えよう」としているのだと謂われている。はがすには骨を折る。願いが叶えられると自然と剥離するが、その場合、食用には適さない。
【ネロット】
粘性をあらわす単位。
【伝葉】
複数の枝に茂った葉が風などで一斉に揺れること。
【崖鏡】
谷のこと。合わせの場合、理論上は底がない。
【奇数教会】
偶数教会の隣にある。
【ホイールネック】
反抗期の人の首に掛ける布製の前掛け。
【フインベル】
虹の彼方まで響くハンドベル。
【楽園のゾンビ】
精神と肉体が孤立した状態のこと。
【ヘラズカポップ】
米に混ぜるまじない用穀物の品種。
【ハーミシアン】
音楽を奏でる穴だらけの者。無風状態では意思の疎通ができない。
【Libro de la Meta】
最も高次にある書籍のうちのひとつ。誰が読んでいるのか不明。
この本についての説明は信用ならない。そしてまたこの説明も信用ならない。
【エールクロスパネル/エールクロスラグ】
部屋の中央に敷く十字の敷物。
【ままま】
さんま。
「ま」は魚を食い尽くした骨を並べた形からできた象形文字である。
【等倍拡縮運輸スケール】
モノをモノのまま、生命を生命のままに運輸するための尺度。
【Numtivaival】
数式による筆話。
例文)
√3=∂78/3?
57+138=±8∵777
【ヱナ】
=イナ/異な
【ハロウ地区】
封鎖区域の最前線。1899年、滞留状態であった地区に人間が侵入したことで勃興。156年後に沈黙した。現在はSERにより低圧閉鎖棟として管理されている。
【コットン3.35-9521】
デフォルト仕様。
安価で耐久性に優れており、主に欠けた歯を補修し、顎を重くすることに用いられる。
【ラスツベリー】
①ハヴァ科の落葉低木。果実は青・淡紅・暗紅色などで香りが高い。生食に向く。ジャムや香料にも使われるが、生食以外での摂取および塗布は精神に著しい損傷を与える可能性がある。
②ユニコーンの間で用いられる俚言。初恋の意。「わたしはラスツベリーを摘み、口に合わなかった」
【配子印】
黒点。体毛のない生物の上肢内側部位にまれに出現する。この印がある者は検索*されることを忌避し、流れ星のごとく消える傾向があるといわれている。
*書物などのデータから必要な事柄を探し出すこと
【ハリカマクリの枠外手法】
三色で描かれたある一枚の絵において、三色のうち一色を作品内に描かない方法。
【マガリナリコア】
とぐろを巻く核心。
【シルヴァン・エコー】
樹間の奥深くから響くとされる、声の残響。
自然と精神の調和を象徴する現象。あるいは、木および動物の鳴き声の偶然の反響。
【宙魚】
雨が降っている間に空中を泳ぐ魚類。
〈句項目〉宙魚の海
【トウテジ】
ナラヤマ説話に登場する怪物。
サイバの道に佇み、道を通るものを目で追う。振り返ったものに付いて行く。
【空喰の会】
くうくのかい。
虚無の同盟。
【人魚の天日干し】
才を無下にすること。
【三脚目】
意外な一面。0以上2以下の脚をもつ生き物に使う比喩。
【絶滅安堵種】
都合のよい正義のための分類のひとつ。
【影断ち】
三次元から次元を移り変わること。
【帚星申告書】
夜空を横切る際に提出する書類。
【アンチドール】
生物を象った造形物に命を導入することを促進しようとする主張。
【失踪語彙】
自我をもって人類の前から姿を消した言葉のこと。字引不可。