えりんぎ
いつものように肩の先から生やしていたら
すっかり変わってしまった。
いったい、いつ、変わったんだろう。
どこかから採ってきたあれは
昨日はえりんぎだと思ったのに
今日はくねくね のたうっている。
よくわからないけれど
すきに踊らせとけ。
それで あれは真っ赤になって踊っている。
けれど半分だけは まだ えりんぎ。
通りがかった奥さんが品定め。
赤は美味しい色。
どんなにひっそりしていても旨い。
奥さんの腕は
薄く張ったまっちろい求肥に
みっしりと 青とか紫とかの根が詰まって
二の腕なんて えりんぎだ。
あかぎれの指先に
今朝がた飲んだ味噌汁が流れている。
そこで 奥さんはおっしゃる。
お番菜は やっぱり えりんぎ。
目の前をひらり
横とぶ まんるい手。
鼻腔をくすぐる やはらかなかおり。
むしりとり 口をうめられたら。
身がほぐれる。
えりんぎは 脂の肉叢。
吸いついて離れない。